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水銀燈「よいお年をぉ」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/31(水) 02:02:54.81 ID:Ytn3ml1AO
師走の風は痛い。
刺すように小さな体に吹き付けてくるから、私は思わず礼拝堂の中に逃げ込んだ。
中は薄暗く、静寂に包まれていた。
煤けた床には部分的に、外からの光がステンドグラスを通って幻想的な模様を映し出している。

ここに、こんな時間に来るのは珍しいかもしれない。
いつも来るのは夜だ。どうしてか。


12月31日
一年で最後の日の夕方の礼拝堂は、いつもとは違う景色を、いつもと変わらず作り出していた。




ブログパーツ 水銀燈「よいお年をぉ」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/31(水) 02:05:27.19 ID:Ytn3ml1AO
今日、めぐの病室へは行けない。

年越しは家族が来るのだそうだ。
そのせいで、この頃は機嫌がすこぶる悪かった。

「水銀燈と離れたくないのに」

だって。
お馬鹿さぁん
あなたとなんか一緒に居てやらないわよ。



6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/31(水) 02:09:56.97 ID:Ytn3ml1AO
考えて少し頬が緩んでいる自分に気付き、恥ずかしく思った。

思わず、自分の失態を目撃した者はいないかと辺りを見回したが、今は礼拝堂の中。 自分以外に誰一人としている筈がないことを思い出して、安堵の溜め息をついた。

いや、それは見方によっては、落胆の溜め息にも見てとれるかもしれないが。
そんな訳はない。私は一人が好きなのだ。



7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/31(水) 02:13:33.37 ID:Ytn3ml1AO
暫くすると、床の光の模様の色が変わってきた。
鋭い光から、段々暖かい橙へ・・・。
日が沈みかけているのだ。外からしていた風の音も、もうすっかり止んだようだった。

私は、その優しい光に誘われるように、橙に染まる世界へ出た。
翼を広げ、礼拝堂の屋根の上へと昇る。

そこからは、沈んでいく夕日がよく見えた。

遠くの山に、赤く赤く染まって落ちていく太陽は、本当に大きく、そして

「あぁ、あなたもひとりぼっちなのねぇ」

太陽の周りに星は見えなかった。



10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/31(水) 02:19:09.27 ID:Ytn3ml1AO
ひとりで、太陽はゆっくりと、名残惜しそうに時間をかけて沈んでいく。

(次に昇るときはもう来年なのねぇ)

そう思う無性に切ないような、寂しいような気分になって、

(何考えてるのよぉ、私は夜のほうが好き。
さっさと沈みなさいよ)

もう、太陽は半分程隠れてしまった。

景色は橙から段々と赤に近い色に染まっていく。

どこかで笑い声がする。病院だろうか。


太陽はもう頭しか見えていない。

(なによ・・なによ・・もう!)

耳を塞いで、聞かないようにする。
私は何をしているんだろう。




13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/31(水) 02:24:22.74 ID:Ytn3ml1AO
顔を上げると、太陽はもう殆ど見えなくなっていた。

(あ・・・)

頭が真っ白だった。
ただ、太陽を追おうと、
立ち上がり、手を伸ばし、ふらふらと前へ進んで───

屋根から落ちた。




14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/31(水) 02:28:00.66 ID:Ytn3ml1AO
飛ぼうと思えば飛べたし、着地することも出来ただろう。
だけど、なぜだろう。
それらをする気が起きず、ただ引力にこの身を任せたくなった。

結果、今の状態。
上向きに寝転んで、空を見上げる形になった。

起きる気にもならない。それは腰が痛いという理由もあるが、それよりも、もうここからは見えない夕日の残した空の赤が、あまりにきれいだったからだ。

このまま、眠ってしまいたい。
その時間はアリスゲームのことも忘れ、ひたすら空を見上げていた。



16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/31(水) 02:30:07.30 ID:Ytn3ml1AO
暖かな夕日を浴びていると、図らずも眠くなってくる。
視界は、段々瞼によって狭くなっていき、ついに消えた。




17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/31(水) 02:33:44.88 ID:Ytn3ml1AO



何時間経ったろう。
私は近くで鳴いたカラスの声で目を覚ました。

見ると、隣に羽を怪我したカラスが座っている。
他のカラスと喧嘩でもしたのだろうか。

「お馬鹿さぁん」

呟いた後で、この台詞を吐いたのは本日二回目だったことに気付いて、苦笑した。



19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/31(水) 02:36:51.92 ID:Ytn3ml1AO
(めぐは・・今頃愚痴垂れまくってるかしら・・)

カラスが近づいてくる。
どうやら懐いているようだ。
黒い翼のせいで、変な仲間意識を持たれたのかもしれない。

「ま、いいわぁ。屋根の上に行くけど、あなたも来る?」

カラスにこんなことを聞いても意味がないと思ったが、このカラス、余程頭がいいのか、私の問いに一声、
カァと答えた。

それがイエスなのかノーなのか、確実にわかった訳でもないが、なんとなくイエスな気がしたので、私は飛べないカラスを抱え、再び屋根の上へと飛んだ。




21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/31(水) 02:41:18.72 ID:Ytn3ml1AO
屋根の上に登った所で、今日は星がよく見えることに気づいた。
普通の建物より高い位置にくれば、一面星に囲まれたような風景だ。


小さく、美しく、神秘的で、懸命に輝く星達

「ローザミスティカみたいねぇ」

賛同なのか何なのか、カラスがまた一声、カァと鳴いた。


「何なのよ、あなたはぁ」

また苦笑、また、カァ。


それきり暫く、2つの生命体は無言で、星空だけを眺めた。



22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/31(水) 02:44:19.84 ID:Ytn3ml1AO
星は一つ一つまるで宝石のようで、色々な色で私を惑わすように光り輝いていた。

それは本当に幻のようで、夢の世界の景色を見ているみたいな感覚、いや、むしろ夢の中にいるような。



ふいに、バサッと隣で羽ばたく音が聞こえた。

我に帰ると、さっきのカラスが私の目の先でバサバサと音を立てて飛んでいた。



23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/31(水) 02:46:41.71 ID:Ytn3ml1AO
「あなた・・飛べないんじゃあ・・」

カラスは少し高度を上げ、私の上を旋回し始めた。

「なんなのよぉ」



カラスが

その嘴を開いて

歌いだした──



24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/31(水) 02:49:22.19 ID:Ytn3ml1AO
「からたちの

花が咲いたよ──♪」



「!!」


私はもう、何が何だかわからなくなって、可能な限りその歌をカラスと一緒に歌っていた。


星達はカラスの旋回に合わせて、ゆっくりと回転を始めた。

流れ星が流れ、月は丸くなったり細くなったりした。

私は、すっかり酔ってしまったように、屋根の上で一人ダンスを踊った。



26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/31(水) 02:53:14.26 ID:Ytn3ml1AO




「・・い・・とう!水銀燈!水銀燈!」


めぐの声・・?

私は・・・?


ゆっくりと瞼を開ける。めぐが私の顔を覗き込んでいた。


ここは──

屋根の上じゃない。

最初に屋根から・・・
落ちた場所?




29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/31(水) 02:55:59.67 ID:Ytn3ml1AO
「よかった水銀燈。心配したんだから」

「めぐ・・あなた、家族は?」

「あんな奴らと、年越しの瞬間も一緒にいたくないわよ」

「それで抜け出して来たってわけぇ? 本当にあなたって、お馬鹿さぁん」

「それ、今日二回目」

「・・ふふ。いいえ、三回目よぉ」

「え? なん・・」


ゴォーー…ン




31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/31(水) 03:05:10.05 ID:Ytn3ml1AO
めぐの言葉は、鐘の音にかき消された。

「そろそろこの年も終わりね」

「そうねぇ」

もうさっきの問いをするつもりはないようだ。

私は一度星空を見上げた。

礼拝堂の上空にカラスはいない。


「ねぇめぐ」

「なに?水銀燈」

「・・・なんでもないわぁ」

「なによ水銀燈、なにかあったの?」

「なぁんにも」




来てくれて、ありがとう。



32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/31(水) 03:08:49.37 ID:Ytn3ml1AO
一応これで終わりです。

最後までgdgdですいません。

あんまりいないと思いますが、こんな大した展開もないクソSSを最後まで読んでくれた方、ありがとうございました。




40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/31(水) 05:07:34.38 ID:MHQpZB7JO



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この記事へのコメント
閉めましてさようなら
2008/12/31(水) 20:02:50 | No.1826 | 戯言ヴぃp | #-[ 編集]
おや
2009/01/01(木) 00:29:29 | No.1828 | 戯言ヴぃp | #-[ 編集]

俺の書いたSSだ。

載せてくれて有り難うございます。
2009/01/01(木) 09:22:41 | No.1833 | クソ作者 | #-[ 編集]
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